とび土工工事業と解体工事業は元々は一つの許可業種だった

とび土工工事業と解体工事業をまとめて取得するためには

建設業許可28業種が1業種増えて29業種へと変わりました。

建設業法にとっては数十年に一度の大改正と謳われましたから、建設業に携わる方であれば、多くの方がご存知の内容でしょう。

当該法改正により増えた1業種が「解体工事業」です。

元々、解体工事は「とび土工工事業」の一部として取り扱われておりましたから、500万円以上の解体工事に従事する会社さんは、とび土工工事業を取得することで許可業者として請負を行っておりました。

しかし、「解体工事業」の新設により、現状の許可(とび土工工事業)では解体工事を請負えず、解体工事業の許可取得が急務となったわけです。

法改正より数年が経過し一段落はしているものの、当時は各業者とも情報収集に必死で一時的に我々サポートにおいても解体バブルが生じるほどでした。

現状でもなお解体工事業の許可取得が難航している方、要件は満たしているものの移行が済んでいない方もいらっしゃるでしょうし、これから許可を受けたいという方も多いことでしょう。

とびと解体の実務経験の考え方は非常にわかりづらく、今でもご相談をいただく機会の多い内容です。

今回は、とびや解体の許可を取得するのに役立つであろう実務経験の取り扱いについて考えてみたいと思います。

とび土工工事業と解体工事業の実務経験の考え方

許可業種が増えたことによる、とび土工と解体の実務経験年数の考え方は少々特徴的で、多少の有利不利の不公平があるとも言われている内容です。

大きくは法改正後(平成28年6月以降)の実務経験の取り扱いと、法改正前(平成28年5月以前)での取り扱いとに分かれますが、解体工事業がとび土工工事業の一部であったことを踏まえた運用がなされております。

平成28年6月(法改正)以降の実務経験の考え方

法改正後の実務経験の考え方は、通常の考え方と同様です。

とび土工工事業としての実務経験はとび土工工事業、解体工事業における実務経験は解体工事業としてそれぞれの経験を有しなければ実務経験による専任技術者への就任は認められません。

一人の技術者が2つの専任技術者となるためには1業種毎に10年、合計20年の実務経験を要することになります。

仮に平成29年1月にとび工事と解体工事を同時並行的に請け負っている会社に入社し実務経験を積んだとして、この者が2業種の専任技術者となれるのは早くても満20年を迎える平成48年12月(令和18年12月)ということになります。

平成28年5月までの実務経験の考え方

法改正前の平成28年5月までの実務経験に関しては、とび土工工事業による実務経験は「とび土工工事業」としての経験しか認められないのに対し、解体工事に携わった経験を有する場合には「解体工事業」は勿論のこと、「とび土工工事業」の実務経験としても認められることになります。

つまり、法改正前までの期間において解体工事業一本で運営されてきた会社での実務経験は、「とび」と「解体」のどちらの専任技術者にも就任できますが、土木工事、造成工事、外構工事、足場工事などを代表とするとび土工工事業のみを運営されてきた会社での実務経験では「とび」の専任技術者に就任はできますが、「解体」の専任技術者には就任が認められません。

これにより、全くとび土工工事を請け負ったことの無い解体工事業者については「とび」と「解体」の2業種の取得が容易なことに対し、全く解体工事を請け負ったことの無いとび土工業者については「とび」のみの許可取得(許可維持)にしか至らず、ちょっとした不公平感が生まれているのが現状です。

また、法改正前の解体工事による実務経験はとび土工工事業と解体工事業が一つの許可業種であったことを踏まえ、同時並行的な実務経験として考えられますので、解体工事として経験を積んだ期間はそのままとび土工工事としての経験も積んでいるものとして取り扱うことが可能となります。

要は、丸々解体工事にて10年の実務経験を有する者についてはこの10年にて「とび」と「解体」の実務経験を有するとみなされ、満10年の実務経験にて「とび」と「解体」の専任技術者への就任が可能ということになり、合計20年の実務経験は求められません。

万一、この特例を知らずに解体工事業のみで許可取得をした場合には、同一の実務経験にてとび土工工事業を業種追加することが可能です。

必要があれば、業種追加申請を行いましょう。

解体工事にて実務経験を証明する場合の注意点

解体工事を請け負う場合には、その請負金額が500万円以上の場合には建設業許可、500万円未満の場合には建設業許可もしくは解体工事業者登録を受けていなければなりません。

つまり、金額大小に関わらず以下の(1)~(4)のいずれかのライセンス(許可もしくは登録)を受けていないと解体工事を請け負うことはできません。

  • (1)解体工事業者登録を受けている
  • (2)建設業許可の「とび土工工事業」を受けている
  • (3)建設業許可の「建築工事業」を受けている
  • (4)建設業許可の「土木工事業」を受けている

このことから、解体工事業における実務経験については限定的で、許可や登録を受けていない業者にて築いた実務経験は一切認められませんので気を付けましょう。

解体工事の実務経験証明書を作成する際には、証明してくれる会社がいつから許可や登録を受けていたのかを許可通知書(登録通知書)にてしっかりと確認することが重要です。

解体工事業者登録制度が発足する前の実務経験の取扱い

500万円未満の場合においても解体工事を請け負う際に必要となる解体工事業者登録ですが、建設リサイクル法を根拠とした制度です。

建設リサイクル法が施行された年月は比較的新しく平成13年5月30日となっています。

従って、実務経験を証明してくださる会社での経験が平成13年5月29日よりも前に請負ったものであれば、そもそも登録を要しませんので実務経験への算入が可能ということになります。

もっとも、この場合、実務経験証明書に加えて当時の注文書などのコピーの提示を求められることもあると聞いたことがありますから事前に調整作業は行った方が確実かもしれません。
(弊所による経験談では特段、証明書類(契約書など)を求められたことはありません。最近では求められるのでしょうか??)

まとめ!法改正前(平成28年5月以前)の解体工事での実務経験を有するなら2業種で行け

せっかくの特例ですから、使えるものは使いましょう。

現状、解体工事業者登録などを受けて解体工事業をメインにて請負っている場合。

新たに建設業許可の取得を目指す際には、法改正前での経験がどの程度あるのかを洗い出しましょう。

仮に法改正前での経験だけで10年以上あれば、迷わず2業種取得です。

もしも10年に足りなかったとしても、法改正後のとびと解体のそれぞれの実務経験を足すことでクリアできるのであれば、やはり2業種取得です。

いずれにしても、考え方や計算方法が面倒なものが多いので、困ったら行政書士に丸投げです。

建設工事の丸投げはNGでも、行政書士への丸投げはOKですよ^^

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