建設業許可を取り消された場合に在籍していた取締役全員が欠格要件の対象者となることも
建設業法に定められた欠格事由に該当するものは法人の役員、令3条の使用人(営業所長など)となることができません。
また、近年、株主(要は会社のオーナー)についても欠格要件の対象者とされております。
これらの者が欠格事由に該当する場合には建設業許可を新規で受けることはできませんし、既に許可を受けている場合には許可を維持することはできません。
前者の場合には新規許可申請後に不許可(却下)通知、後者の場合には取消通知が発行されることになるようです。
こうなってしまうと欠格要件に該当する者を外さない限りは許可を受けることはできませんが、言い換えれば、この者を役員等から外すことで許可を受けることができるわけです。
ただ、時にそんな簡単には行かないことがあります。
最悪のケースとしては不許可や取消を受けた際に在籍していた取締役などの全員が欠格要件対象者となり、当面の間、許可を受けることができない場合があります。
建設業許可申請書に欠格要件該当事由を記載せずに提出した場合
例を出すと、取締役として在籍する1名が暴力事件を起こし、罰金刑などを受けた場合、当人は建設業法上でいうところの欠格事由に該当することになりますので、そのまま取締役として在籍していては5年間は許可を受けることができません。
ただ、この場合、欠格要件に該当している者はあくまでもこの取締役だけですから、当人が取締役を辞任するなどの措置を施した上で許可申請をすれば、問題なく許可となるはずです。
しかし、この措置はあくまでも会社として欠格要件に該当する取締役の直近5年間の経歴が明らかになっている場合の話であって、知らされていなかった場合(本人が隠していた場合)などでは大ごとに繋がりかねません。
虚偽申請と判断をされれば単なる不許可(取消)では済まされない
欠格事由に該当する取締役等からその事実を知らされていなければ、許可申請書に記載せずにそのまま申請をすることになるでしょう。
知らないのだから当たり前です。
しかし、知らなかったとは言っても、当然ながら許可とはなりません。
そして、何よりも恐ろしいペナルティを受ける場合も。
建設業許可の新規や更新、業種追加申請などの際には取締役の経歴書を提出しなくてはなりませんが、この経歴書には賞罰を記載する項目が設けられており、これまでの賞と罰をそれぞれ記載しなくてはなりません。
この賞罰については、事実を捻じ曲げて嘘を記載することは当然ながらいけませんが、あえて事実を書かないといった経歴を隠すようなことも禁止されており、存在する事実を包み隠さず記載する必要があります。
つまりはこれまでの暴力事件等での罰金刑なども包み隠さず記載しなくてはいけないということです。
これを怠り、または隠して記載せずに申請をしてしまうと、最悪の場合、虚偽申請として取り扱われることになり、その効果は会社全体に及ぶことになります。
虚偽申請へのペナルティは会社全体に及ぶことに
このように虚偽申請として取り扱われることになると、その行為自体が欠格要件に該当するため、不許可や取消といった処分が下されるのは勿論ですが、これらの処分が下された際に在籍していた取締役等の全てが欠格要件に該当する者と扱われることになります。
そうなると取締役が別の会社に転属して許可を受けることもできませんし、新たな会社や個人事業主として許可を受けることも5年間制限されてしまうことになります。
これはかなり悲惨なケースです。
そうは言っても、取締役が過去の犯罪歴などを隠していた場合には必然的に起こりえることなので、申請する前にしっかりと確認をしておくことが望ましいでしょう。
欠格要件に該当することとなった取締役への制限
他の取締役が犯罪歴を隠していたばっかりに、結果として虚偽申請となり、許可を受けることができなかったり、自身も欠格要件該当者となってしまったり悲惨としか言いようがありません。
ただ、こういったケースの取締役について、5年間の欠格要件該当者としての制限がかかることは変わりませんが、多少の緩和措置を設けている自治体もあるようです。
少なからず群馬県においては緩和措置があることを確認しております。
ただ、大変勝手ながら、その詳細については公的に発表されているものではありませんので、立場上、当サイトに記載することは見送ります。(公的に発表がなされた際には書かせていただきます。)
どうしても気になる方や、お困りの方については個別相談ということに致しましょう。